家を買うタイミングはいつがベスト?理想の貯金額、住宅ローンの目安もチェック!

2024年4月22日

結婚や出産、子どもの成長に合わせて、住宅の購入を意識し始める人もいるでしょう。家の購入は人生において大きな決断が必要になるため、しっかり見極めたいものです。本記事では、家を買うタイミングや住宅ローンを借りるときのポイント、貯金額や年収の目安についても紹介します。

家を買うのにベストなタイミングとは

家を買うタイミングは人それぞれですが、年齢やライフイベントなどをきっかけに住宅購入を検討する人が多いでしょう。ここでは、3つの視点をもとに家を買うタイミングについて紹介します。

年齢によるタイミングで家を買う

国土交通省の「令和4年度 住宅市場動向調査」によると、注文住宅(建て替えは除く)を購入した人(一次取得者)は30代が最も多く、平均年齢は「39.5歳」です。分譲戸建住宅や分譲マンションなども、30代で購入する人が最も多い結果となりました。その理由として考えられるのは、住宅ローンの返済年数との関係です。

返済期限には年齢制限があります。完済時の年齢が80歳までという銀行が多いため、定年後の返済計画を考えて30代で家の購入を検討する人が多いようです。

住宅の種類 世帯主の平均年齢
注文住宅 39.5歳
 分譲戸建住宅 37.5歳
分譲集合住宅 39.9歳
既存(中古)戸建住宅 43.6歳
既存(中古)集合住宅 43.7歳

出典:令和4年度住宅市場動向調査|国土交通省

ライフイベントによるタイミングで家を買う

結婚や出産など、世帯の構成人数に変化が起こるライフイベントのタイミングで、家を買う人が多いです。若い夫婦でも夫婦の共有名義で住宅ローンを組めば、家を買える可能性が高くなります。また、出産や子どもの進学によって、希望の保育園や学校に入れるエリアに引っ越す人も多い傾向にあります。

ほかにも、両親との同居や子どもの独立、定年退職などのタイミングで家を買う人もいるでしょう。子どもが独立し部屋が不要になったことを理由に、管理しやすい小さな家や、病院に近いエリアでバリアフリーの家を購入するなど、老後を快適に暮らすために住み替えを検討する人も多いようです。

社会情勢によるタイミングで家を買う

社会情勢によって、不動産価格やローン審査、金利は大きく変化します。住宅は高額な買い物なので、住宅ローン金利や不動産価格の推移といった経済の動向も重要です。過去のデータと将来の見通し両方の動向を見なくてはいけません。エリアの土地の価格推移を意識しながら、最適なタイミングを見極める必要があります。

ウッドショックの影響は?購入を先送りすべきでない理由

住宅価格に大きな影響を与えている「ウッドショック」とは

「ウッドショック」とは、世界的な木材の不足から木材の価格が高騰することです。

「第三次ウッドショック」は、2021年2月頃から始まりました。要因は、新型コロナウィルス感染症拡大への対策としてテレワークが普及し、建築需要が増えたことや、コンテナ不足による輸送運賃の高騰があると考えられています。

さらに円安の進行やウクライナ紛争で、輸入木材に加えて国内生産の木材も価格が高騰しました。その影響で、木造の住宅建築は、材料の入手が困難となり、工期の遅延や建築価格上昇が続いている状況です。

住宅の建築や購入を保留すべきでない理由

では、ウッドショックの影響が収まるまで、住宅の建築や購入は保留したほうが良いのでしょうか。結論として、保留すべきでないケースが多いと考えられます。ここではその3つの理由について説明します。

理由1 ウッドショックが収束する見込みはまだない

経済産業省は、2022年5月の資料でウッドショックの現状について下記のように解説しています。

日本国内では、2021年春頃から話題となり始めた、いわゆるウッドショックは、当初のほぼ全面的な価格上昇という局面から、木材・丸太の種類などに応じた需給バランスのとれた価格形成を探る新たな局面に差し掛かっているのではないかと思われます。今後は、輸入価格の動向次第ではあるものの、当面は国内価格の高止まりが定常化し、新築戸建売買取引なども軟調に推移していくと見込まれます。

引用元:どうなったウッドショック、価格の高止まりが需要を抑制?

ウッドショックをきっかけとする木材価格の高止まりは定常化し、当面続く可能性が高いと考えていいでしょう。

2022年以降一部の木材価格がやや下落傾向にあることから、2023年に入り「ウッドショックはピークアウトし、その影響も落ち着いた」と言われるようになりました。とはいえ、未だ収束の見込みは立っていない状況と言えます。

理由2 家族のライフプランに支障をきたさないため

前出の通り、家は、家族のライフイベントにあわせて購入するケースが多い傾向にあります。つまり、「ウッドショック」が終わるのを待っていては、住宅購入のタイミングを失ってしまう可能性があるのです。

特に大きな変化と言えるのは、子どもの就学でしょう。引っ越しのタイミングと就学の時期がずれてしまうと、子どもが転校を余儀なくされたり、学校までの距離が不必要に遠くなり通学時間が伸びてしまったりする可能性があります。

理由3 住宅ローンなどの返済計画にも影響が出る

住宅ローンの返済には、年齢も影響します。何歳までに返済を完了するのかといった返済計画は、年齢が若いほうが余裕を持って設定できるケースが多いでしょう。また、高齢だったり健康面のリスクがあったりすると、団体信用生命保険(通称「団信」)の審査が通らず、住宅ローンが組めない可能性もあります。

また、近年における住宅ローンの長期金利上昇にも注意が必要です。

ウッドショックによる価格高騰のため「今は時期が悪い」「買うべきではない」「購入は控えるべきだ」という考えもありますが、購入を先送りにして住宅ローンが組めなくなると、買うこと自体が困難になる恐れもあります。

住宅購入は家族のライフプランにも影響するため、多角的な視点から時期を検討しましょう。

家を買うための理想的な貯金額と年収額

住宅資金の貯金

家を買うタイミングには、世帯年収や貯金額を考慮して検討する必要があります。また、マンションや一戸建てなど、買う住宅によって年収の目安も変わってきます。理想的な貯金額と年収額を解説します。

家を買う際にかかる費用

家を買う際、マンションや一戸建てどちらもさまざまな費用がかかります。不動産の購入資金のほかに管理費などの維持費、月々の駐車場料金、固定資産税などの税金も支払わなければいけません。

また、マンションの場合は、管理費のほかに修繕積立金も月々で支払う必要があります。それに比べると、一戸建てのほうが月々の固定支出は少ないと考えられがちですが、一戸建てでは自分で修繕費用を貯蓄しておく必要があります。固定資産税も新築なら軽減措置の対象ですが、中古だと対象外なので気をつけましょう。

家を買うために準備しておきたい貯金額

家を購入する際、土地や建物の購入費用以外に印紙税や火災保険料などの諸費用がかかります。注文住宅を購入する場合は、諸費用が購入価格の6〜9%、マンションなら3〜6%となっています。例えば、3000万円の一戸建て住宅の場合、諸費用は180〜270万円が目安です。諸費用は原則現金で支払うので、注意してください。

また、住宅購入時に頭金として購入価格の1〜2割程度を現金、残りを住宅ローンで支払うケースが一般的です。住宅購入費用と諸費用を考慮したうえで現金を用意しておくと良いでしょう。

年収の目安①注文住宅購入の場合

注文住宅は年収の約5〜6倍の価格が目安。例えば、年収500万円なら2500〜3000万円、年収1000万なら5000〜6000万円です。国土交通省の「令和4年度 住宅市場動向調査」によると、全国の注文住宅購入者の平均世帯年収は731万円、住宅ローンの年間返済額は174万円とされています。一般的に土地代と建築費用の80%を上限として住宅ローンを借りられますが、余裕を持って自己資金を用意している人が多いでしょう。

参考:令和4年度 住宅市場動向調査|国土交通省

年収の目安②マンション購入の場合

立地や売買のしやすさなどから、不動産としてのニーズが高まっているマンション。分譲マンション購入者の平均世帯年収は840万円ですが、住宅金融支援機構「2022年度 フラット35利用者調査」によると、年収400万円以上〜600万円未満の購入者が約4割と多くなっていました。

また、国土交通省「令和4年度 住宅市場動向調査」を参考にすると、分譲集合住宅の住宅ローン年間返済額は148.1万円程が平均額だと考えておきましょう。

残しておきたい貯金額

家を買う際に残しておくべき貯金額は、「生活費の半年分」が目安です。

契約申込みのときに支払う頭金が多いほど、その後の支払いはラクになります。また、頭金があるとローンの優遇条件を受けられる場合もあるでしょう。

しかし、手元にある貯金を全て費やしてしまうことにはリスクもあるため、病気による休職や子どもの教育費などに備えて、必要なお金を手元に残しておくと安心です。

家を買うタイミングで確認しておきたい制度

家の予算

住宅購入は大きな買い物です。金銭的負担を軽減するために、受けられる補助金について事前にしっかりと把握しておきましょう。以下では、家を買う際に確認したいお金について解説します。

住宅購入時に受けられる減税制度

住宅購入時には「住宅ローン控除」という減税制度が使えます。対象となるのは新築・中古問わず住宅ローンを利用する人で、ローンの残高に応じて納付した税金の一定額が戻ってくる制度です。

詳しくは国税庁のページで紹介されているのでチェックしてみてください。

住宅購入時に受けられる補助金制度

減税制度のほか、家を買う人に向けて設定された国の補助制度があります。一例として下記に5つを挙げますので、それぞれの概要を見ていきましょう。
※いずれも2024年2月時点の情報

1.すまい給付金

消費税率引上げによる税負担増加の影響を平準化するため、住宅ローン減税の効果が十分におよばない所得層を対象に、最大50万円を補助として国が支給する制度です。収入によって給付額が変わる仕組みとなっています。

参考:
すまい給付金とは|国土交通省すまい給付金公式サイト
すまい給付金について|国土交通省

2.長期優良住宅化リフォーム推進事業

性能を向上させる改修工事を行い、「長期優良住宅」に認定された住宅に対して補助金を支給する制度です。目的としては、既存住宅の長寿命化や省エネ化などがあります。

長期優良住宅として認定されるには、国が定めた基準を満たしたうえで、メンテナンスや維持保全の計画を作成してお住まいの自治体へ申請することが必要です。

この長期優良住宅を購入する場合にも、買主に対して最大200万円の補助金が支給されます。

参考:
国土交通省 長期優良住宅化リフォーム推進事業
国立研究開発法人建築研究所 令和5年度事業ページ一覧

3.ZEH(通称ゼッチ/ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)補助金

ZEHとは、一次エネルギー(太陽光発電や風力発電など)消費量の収支をゼロ、もしくは限りなくゼロに近づけられる、高い省エネ性能を備えた住宅を指します。

断熱や省エネ、創エネの性能により、使うエネルギーよりも創るエネルギーを大きくすることが狙いです。国が設けた一定の基準を満たしたZEH住宅を建てる人や購入する人に対し、補助金が支給される仕組みです。

複数種類があり、支給金額は適用される制度により異なります。

参考:
一般社団法人環境共創イニシアチブ 経済産業省及び環境省による戸建ZEH補助事業
経済産業省 ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)

4.地域型住宅グリーン化事業

2015年度から開始された地域型住宅グリーン化事業は、耐久性や省エネルギー性能などに優れた木造住宅の整備や、それと併せて行う三世代同居への対応を進める人への支援を行うものです。

上記のような対象となる木造住宅を、国土交通省の採択を受けた地域のグループに加入している工務店で建築した際に、国から住宅構築費用の一部が補助金(最大140万円)として支給されます。

参考:
国土交通省 地域型住宅グリーン化事業(認定長期優良住宅、ZEH・Nearly ZEH、認定低炭素住宅、ZEH Oriented)

5.自治体独自の補助金制度

各自治体にある補助金制度も確認しましょう。国の補助金を財源とする自治体の支援制度は、国の補助金制度と併用ができないので注意してください。

▽自治体が独自に行う補助金制度の一例
東京都 東京ゼロエミ住宅の助成制度

例えば、断熱や省エネ、創エネの性能を供え、「使うエネルギー≦創るエネルギー」を目的にしたZEH(ゼッチ)補助金や長期優良住宅、低炭素住宅など環境負荷の低減を目的にした制度に認定された住宅に補助金が出る地域型住宅グリーン化事業補助金があります。ほかにも、酸素と水素で電気や熱を作るクリーンエネルギーシステムのエネファームを導入する住宅は、家庭用燃料電池システム導入支援事業補助金を受けることができます。

また、各自治体にある補助金制度も確認しましょう。国の補助金を財源とする自治体の支援制度は、国の補助金制度と併用ができないので注意してください。

住宅ローンを借りるポイント

せっかく夢のマイホームを購入したのに、支払いが困難になってしまうのは避けたいですよね。住宅ローンは、借りられる額ではなく返せる額にするのがポイント。住宅ローンを借りるポイントを紹介します。

支払いが無理のない範囲の金額にする

住宅予算費は自己資金+住宅ローンが基本。用意できる頭金の額や想定する借入期間、住宅ローンの金利によって金額は変わります。子どもの人数が多いとその分生活費がかかってしまうので、住宅費用にかけられる額は限られるでしょう。住宅ローンの年間返済額は年収の20%以下に抑えるのがベストです。

金利の種類を理解する

住宅ローンには固定金利と変動金利があります。固定金利は、借入時から決められた期間と金利が固定されています。金利水準が上がっても金利が固定されているので返済額が変わらないというメリットがありますが、変動金利より金利が高めです。

変動金利は、定期的に金利が見直され、返済額が増減する仕組みです。返済額の変更は5年ごとに行われるので、すぐに金額が変わることはありません。変動金利は金利が低めですが、将来金利が上昇すると返済額が上がるリスクがあります。返済計画や資産計画をもとに住宅ローンシミュレーションをしてみると良いでしょう。

長期の資金計画を立てる

一般的に住宅ローンは、短くて20年、最長で35年の返済期間が基本です。独身か既婚者、子どもがいるかどうかによって返済計画を立てる必要があります。

何歳まで働くのか、安定した収入を継続的に得られるのかも考えなくてはいけません。定年までに返済が終わるのが理想ですが、難しい場合は無理して毎月の返済額を増やすと負担が大きくなってしまうので、余裕があるときに繰上げ返済をするのがおすすめです。

資金計画に悩んだら、住宅展示場で相談してみましょう。家を買った後の返済計画やローンの選び方などがイメージしやすくなりますよ。

家を買うタイミングは貯金額や収入を目安に見極めよう

電卓とその上に置かれた緑の屋根の家

家を買うタイミングは、安定した年収や貯金額を目安にすることが重要です。また、ライフイベントも大きなきっかけになります。

後悔しないためにも資金計画をしっかり立て、家を買うタイミングを見極めましょう。