子どもの好奇心をくすぐるスイーツ♩親子で楽しめるおやつレシピ

2022年2月25日

おうち時間が長くなった昨今。お子さんも大人の皆さんも、自宅にこもることに飽きてしまうこともあるのではないでしょうか。

そこで、今回は親子そろって作って楽しめるおやつのレシピを、芸術教育士でありケーキデザイナーの太田さちかさんに教えてもらいました。

子どもたちの好奇心を刺激し、パパ&ママの気付きにもなるスイーツで、おうち時間を充実させてみませんか?

教えてくれるのは芸術教育士の太田さちかさん

芸術教育士・ケーキデザイナー。慶應義塾大学を卒業後、エコール・ド・リッツ・エスコフィエ、京都芸術大学大学院にて製菓や芸術を学ぶ。2009年にアトリエ「My little days」を設立。10年以上に渡り子どもを対象としたワークショップを展開。また、ケーキデザイナーやコラムニストとしても幅広く活動中。Instagram

親子で作るスイーツの楽しみ

おうち時間が長くなって家族が顔を合わせる時間が増えて「良かった!」と思える反面、ぶつかってしまうことが増えてしまったり、一緒にいすぎるが故に会話が減ってしまったというお悩みも、多く話に上っています。

そうしたストレスを解消し、家族が正しくコミュニケーションをとるための手段としておすすめなのが「親子でのお菓子づくり」であると、今回お話を聞かせてくださった太田さちかさんは考えています。

「パパやママはもちろん、お子さんも見えないところも含めてストレスを溜めているかもしれません。家族をより良くするために必要なのはコミュニケーションですが、何もない場所から会話を生みだすのは誰だって難しいもの。そこでのおすすめが、お菓子づくりです。

一緒にお菓子をつくると、子どもたちからは『なぜ?』『なんで?』という好奇心を引き出すことができるし、それに答えるために大人も勉強をするので、お互いに成長することもできます」

「私たちの身の回りにあるものは、見方を変えればたくさんの不思議があります。そうした『?』に気づいてもらうことができるお菓子レシピ、それが私の考える『サイエンススイーツ』です。

ただし、そうした不思議に子どもたちが気づくことができるかどうかは、親による誘導が必要になることが多いもの。例えば私たちが『アイスクリームは熱で溶けるけど、人間は温かいお風呂に入っても溶けない』ということを不思議に思わなければ、子どもも『そういうもの』と捉えてスルーしてしまうだけ。
疑問に思わず受け流してしまわないよう、子どもたちが自分の中で『なぜ?』を見つけることができるよう、お互いが影響し合い、良い方向に向かっていくことが望ましいのです」

そうして生み出された「サイエンススイーツ」は、大人も「そういえばなんでだろう? とても不思議!」と思えることで、子どもたちの好奇心をより強く引き出すことができるのだと太田さん。

どんな学びも、最初の一歩は好奇心から生まれます。変化のない日常をダラダラと過ごしてしまわないためにも、「不思議」をもたらすサイエンススイーツづくりや、親子そろっての料理づくりは大切なのかもしれません。

ワクワク楽しい!親子でつくるサイエンススイーツレシピ

ここからは太田さんがこの記事のためにつくってくれた、親子で楽しめるサイエンススイーツのレシピをご紹介。

重力に逆らうクリーム!?『春の無重力パフェ』 (所要時間:20分)

【材料(2人分)】

・グラノーラ:20g
・卵白:1個分
・グラニュー糖:40g
・ビスケット: 2枚
・いちご:1個
・エディブルフラワー:適量

【作り方】

①グラスにグラノーラを入れる。 

②ボウルに卵白を入れ、ハンドミキサーで泡立てる。白っぽくなったらグラニュー糖を3回に分けて加えて混ぜて固いメレンゲをつくり、絞り袋に入れる。 

③ビスケットの片面に②を絞り、エディブルフラワーを添える。

④絞った面を下にしてグラスに乗せたら、ビスケットの上に再び②を絞り、いちご(半分にカットしたもの)や、エディブルフラワーを添えて完成。

「卵白は90%の水分と10%のタンパク質でできています。このタンパク質が、泡立てられることで互いに結び付き、その泡が安定するという仕組み(砂糖を入れることでさらに粘り気が増し、泡が壊れにくくなる)。

そうして出来上がったメレンゲは空気をたくさん抱えていて『空気変性』という特性を持ちます。空気を含んでいるということは、とても軽いということ。空気変性のおかげで同じ状態をキープしようとする力が働き、ビスケットにくっついて接着剤のように固定されます。この接着力がメレンゲの重さに勝るため、落ちない不思議なパフェをつくることができるんです」

「接着力がメレンゲの重さ(重力)に勝るため、落ちてこないという現象。
空気を含むことによって、重力に負けない軽さを持つメレンゲのパフェ。ふわふわ軽い食感がクセになる、サイエンススイーツです」

カラフルなレイヤーが可愛い!『親子で楽しい比重の層ドリンク』 (所要時間:10分)

【材料(1杯分)】

・紅茶(無糖):100ml
・オレンジジュース(ストレート):50ml
・グレープフルーツシロップ:50ml
・氷:適量

【作り方】  

①グラスにシロップを入れ、氷を縁いっぱいまで入れる。

②氷をめがけるようにして、オレンジジュースをゆっくり静かに注ぐ。その後、紅茶も同様にして静かに注ぎ入れたら完成。

「このドリンクは、液体の『比重(質量)』がポイントとなって層が生まれます。

比重とは、同じ体積の液体の重さを比べたもので、水が基準の『1』とされています。例えばアイスコーヒーのグラスにシロップを入れたとき、シロップが底のほうに沈むのは、シロップのほうが比重が大きいためです」

「今回使用した液体は紅茶→オレンジジュース→シロップの順に比重が大きくなるので、比重の大きい順に注ぐことでキレイな層を作ることができます。

もちろん順番を逆にすると混ざってしまい上手く層にならないのですが、そうした失敗も気軽にできるプチ実験のひとつ。かき氷シロップやローズシロップなどいろいろな商品が売られているので、お好みで試してみてください。

牛乳や炭酸水など、身近にある飲み物をあれこれ層にして『どっちの液体のほうが軽い?重い?』を調べてみるのも楽しいもの。ご家庭での会話が一段と深く楽しくなりますよ!」

圧力があるから丸くなる!?『水風船で作る、まんまるゼリー』(所要時間:45分)

【材料(2人分)】

・水:250ml
・グラニュー糖:10g
・アガー:5g
・梅シロップ:適量
・ハーブ(タイム):適量

【作り方】  

①鍋に水を入れて中火にかけ、グラニュー糖とアガーを少しずつ振り入れ、泡立て器で混ぜながらよく溶かす。ひと煮立ちしたら火を止める。

② ①の粗熱が取れたら、水風船用注入器を使って水風船の中に20mlずつ入れて空気を抜き、口を結んで留める。

③冷蔵庫で30分以上冷やして固め、つまようじで刺して風船を割り、中身を皿に取り出す。

④梅シロップをかけ、ハーブを添えたら完成。

「地球上には大気があり、その影響で『圧力』というものが存在します。そして面白いことに、すべての場所の圧力が均一になるんです。こうした『圧力』を目で見てわかりやすく捉えるために、水風船を使ったまんまるゼリーを作ってみましょう」

「このゼリーは、中身を取り出す瞬間が一番のお楽しみ。固まったゼリーが外に出ようとする力と、水風船が縮もうとする力が働いて、つまようじで作った小さな穴から亀裂が入り、ぷるんっとゼリーが飛び出してきます。

また、上にかけるシロップはなんでもOKですが、個人的には梅シロップがおすすめ。黒蜜+きなこも合います」

お子さんの好奇心をUPさせるサイエンススイーツ

つくっている間も、つくり終えて食べるときも、好奇心が止まらず話題がはずみそうな太田さん直伝の「サイエンススイーツ」。子どもたちの未来をエジソンのようにキラキラしたものに変えてくれるかもしれませんね!
ぜひ今度の週末にでもお子さんとつくってみてください♩

 

 

Photo_Koji Kanatani Interview & Text_Megumi Waguri Edit_Yasushi Shinohara