【住まいの土地探し】建ぺい率とは?容積率との違いや規制に関する注意点も解説

2024年3月20日

建ぺい率とは、土地に対してどれくらいの大きさの家を建てられるかの目安となるもの。家を建てる際は、これとあわせて容積率についても知っておくことが大切です。そこで本記事では、建ぺい率・容積率についてやそれぞれの違い・算出方法に加え、建ぺい率や容積率において、家を建てる時に気を付けてほしいポイントを紹介します。

建ぺい率の基本

家の図面

敷地にどれくらいの大きさの建物を建てられるかという大きな指標となるのが建ぺい率です。まずは、建ぺい率について、容積率との違いについて確認します。

建ぺい率とは

建ぺい率とは、敷地面積に占めている建物面積の割合をパーセンテージで示したもの。この時の建物面積は、建物を真上から見た時のものを指します。1階と2階の面積が違う場合、広い階の方が建物面積に当てはまります。

この建ぺい率は、地域ごとに規定の数値が異なります。行政によって、30%から80%の間で適した割合が定められています。建ぺい率が低い地域に大きめの家を建てる場合、その分広い土地を確保しなければいけません。この数値は、不動産業者がチラシやネットを通じて公開していることが多いので、確認してみてください。

容積率との違い

建ぺい率と混同されがちなのが容積率です。容積率とは、敷地面積に占めている建物の延べ床面積の割合をパーセンテージで示したもの。2階建ての家であれば、1階と2階の面積を足したものが延床面積です。

容積率も行政による規制があり、50%から1300%の間で定められています。例えばビルの場合、容積率が高くなればなるほど、高いビルが建てられるという具合です。

建ぺい率・容積率の算出方法

図面と電卓

家を建てる時、建ぺい率と容積率の算出方法について理解しておくと、家の広さを考える時にとてもスムーズです。ここではそれぞれの算出方法について解説します。

建ぺい率の計算式

建ぺい率は、建物面積と敷地面積から割り出します。

建ぺい率(%)=建物面積÷敷地面積×100

例えば、200平方メートルの敷地に家を建てる場合、そこが建ぺい率70%のエリアであれば、建築可能な建物面積の上限は140平方メートルです。

容積率の計算式

容積率とは、延床面積÷敷地面積×100で算出される数値が容積率(%)です。

例えば、200平方メートルの敷地に建物を建てる場合、そこが容積率200%のエリアであれば、建築可能な延床面積の上限は400平方メートルです。もし3階建ての家であれば、1階・2階の面積を150平方メートルずつ、3階を100平方メートルにするなどして、合計が400平方メートル以内になるように調整します。

建築時に知っておくべき建築制限

図面を確認する2人

家を建築する際は、建ぺい率と容積率以外にも考慮しなければいけない点がいくつかあります。ここでは、建築時に気を付けるべきポイントを確認します。

用途地域ごとの制限

土地の使い道は、住居用・商業用など地域ごとに決められています。これを用途地域と言い、全部で13種類あります。この用途地域ごとに、建設可能な建物の種類・建ぺい率・容積率が定まっているので、事前に確認しておきましょう。

  1. 第一種低層住居専用地域・・・建ぺい率:30~60%/容積率:50~200%
  2. 第二種低層住居専用地域・・・建ぺい率:30~60%/容積率:50~200%
  3. 第一種中高層住居専用地域・・・建ぺい率:30~60%/容積率:100~300%
  4. 第二種中高層住居専用地域・・・建ぺい率:30~60%/容積率:100~300%
  5. 第一種住居地域・・・建ぺい率:60%/容積率:200~400%
  6. 第二種住居地域・・・建ぺい率:60%/容積率:200~400%
  7. 田園住居地域・・・建ぺい率:30~60%/容積率:50~200%
  8. 準住居地域・・・建ぺい率:60%/容積率:200~400%
  9. 近隣商業地域・・・建ぺい率:80%/容積率:200~400%
  10. 商業地域・・・建ぺい率:80%/容積率:200~1000%
  11. 準工業地域・・・建ぺい率:60%/容積率:200~400%
  12. 工業地域・・・建ぺい率:60%/容積率:200~400%
  13. 工業専用地域・・・建ぺい率:30~60%/容積率:200~400%

なお、工業専用地域には住宅は建てられません。

建ぺい率が上がるケース

建ぺい率にはいくつかの緩和条件があるので、それを把握して活用することも大切です。

角地の建物は通常より10%上乗せできるケースがあります。さらに例えば、建ぺい率30~60%の地域で「防火地域」の角地に建てられた「耐火建築物」であれば、20%も建ぺい率が上乗せされます。

ただし、地域によって角地の定義が違うことがあるので、必ず確認しましょう。

建ぺい率・容積率に含まれない物

幅1メートル以内の庇・軒・バルコニーは建物面積には含まれません。ただし、建物から突き出した部分が1メートル以内である場合に限ります。

また、玄関・バルコニー・ベランダ・ロフトや、延床面積の1/3にあたる地下室・1/5にあたる車庫は、延べ床面積の対象外です。

建物前の道路幅による容積率

建物の目の前にある道路の幅も、容積率に影響するものの1つです。家の前の道幅が12メートル以下である場合は、規制がかかります。例えば、道路幅が5メートルの道沿いに家を建てるなら、5メートル(道路幅)×0.4(法定乗数)×100で容積率は200%です。

規制がかかる場所に家を建てる場合は、上記の計算で算出した容積率と指定容積率のうち、低い数値の方が該当する容積率とみなします。上記の場合、仮に指定容積率が300%の地域であったとしても、建築場所の道路幅が5メートルと狭いために規制がかかり、計算に基づいて算出された200%の容積率の方が適用されるのです。

角地にある建物の場合は、道幅の広い方の道で容積率を算出します。

その他の建築制限

上記以外にも、以下のようなさまざまな建築制限を考慮した上で建物を建てなければいけません。

  1. 道路斜線制限:日当たりや風通しを確保するために、建物の高さを制限。
  2. 北側斜線制限:南方向からの日照を考慮し、建物の高さを制限。
  3. 日影規制:決まった時間日が当たらない土地がないように、建物の高さを制限。
  4. 高度地区:建物の高さが制限されている地域。

建ぺい率・容積率がオーバーした建物は売却できる?

家の鍵を持つ人

建築年数が経つと、建ぺい率や容積率の規定数値が変わり、それにより数値がオーバーした状態になることがあります。これらの建物が売却可能かどうかについても説明します。

既存不適格建築物は売却できる可能性も

建物を建築した当時は規定の建ぺい率・容積率だったものの、法改定などに伴い、規定外となってしまった建物のことを既存不適格建築物と言います。基準に当てはまらない建物にはなっても、違法の建物にはなりません。つまり、既存不適格建築物は適法な建築物であり、基本的には売却可能と言えます。

ただし、増改築する場合には、現在の規定に合わせた建物にする必要があるので注意してください。

違反建築物に注意しよう

一方で、新築時から規定を満たしていないか、増改築などを行って規定を満たさなくなった建築物のことを違反建築物といいます。この場合、物件購入のためのローン審査が通ることはまずないでしょう。

違法建築物は売却すべきではありませんが、土地のみの取引が行われるケースはあります。

建ぺい率・容積率を理解して住まいの土地探しをしよう!

家の模型を持つ人

建ぺい率・容積率の違いによって、建てられる家の大きさが変わってきます。そのため、家づくりを検討する際には、これらを知っておくことが大切です。ただし、家を建てる地域や場所によって数値が変わってきたり、規定が緩和されたりすることがあるので、事前にしっかりと調べた上で理想の家づくりを検討してくださいね。