不動産登記の住所変更手続きに挑戦!必要シーンや書類、申請方法

2023年5月15日

住宅購入や転居などがきっかけで不動産登記名義人の住所変更が必要になったものの、どのような方法で手続きすればいいのかわからない方もいるでしょう。
また、必要書類や手続きの手順を詳しく調べないまま進めてしまうと、不備が生じてやり直しが発生するなど、想像以上に時間がかかってしまいます。

不動産登記における住所変更手続きの方法を把握し、スムーズに対応できるようにしましょう。

監修者 富岡淳(とみおかじゅん)
司法書士・行政書士事務所ビスポークオフィス(東京都台東区)代表。家族信託や任意後見を中心とする生前対策や、相続案件のエキスパート。ただの「登記屋さん」に終わらず、相談者の抱える問題に対しあらゆる法制度を総合して解決策を立案・サポートすることが可能。相談者との対話を大事にすることをモットーとしている。

不動産登記における住所変更とは?

不動産登記における住所変更とは?

不動産登記は、土地や建物などの所在や面積、所有者の情報などを一般公開することで利権関係を明らかにし、不動産取引を安全かつ円滑に行えるようにしています。
これらの情報を記載した帳簿を「登記簿」と言い、登記所(法務局)では誰でも登記事項証明書や登記事項要約書の交付を受けられます。

 

不動産登記における住所変更とは、登記簿上の不動産所有者の住所を変更することです。
住宅購入や引越しなどに伴い、登記簿に記載されている住所と現住所が異なる場合は、登記簿上の住所も現住所に変更しなければなりません。

 

しかし、2023年1月時点では、登記簿の住所変更は自動的に変更されたり、何らかの通知が来たりすることもないので、多くの方が忘れがちとなる手続きだといえます。住宅購入や引越しをしたときには、登記上での手続きをうっかり忘れないようにしましょう。

 

引越しの住所変更についてはこちらの記事でも紹介しています。


不動産登記名義人の住所変更が必要となるシーン

不動産登記の住所変更が必要となるシーン

不動産登記名義人の住所変更が必要となるシーンは、以下の通りです。

 

【不動産登記上、住所変更が必要となるシーン】
・住宅購入や転居により登記簿上の所有者の住所が変更となった場合
・住居表示が実施される場合
・区画変更に伴い地番が変更になった場合

 

上記に該当する場合は、不動産登記名義人の住所変更を行う必要があります。
不動産登記名義人の住所変更をしないまま時間が経過してしまうと、不動産の売却や名義変更、住宅ローンの契約などの際に、手続きがスムーズに進められなくなってしまう可能性があるので注意が必要です。

 

一方で、行政区画の変更や市区町村の合併に伴う住所変更の場合は、地番の変更がなければ法務局に住所の変更登記があったものとしてみなされます。よって自身で住所変更登記を行う必要はありません。

上記のように、状況によっては不動産登記名義人の住所変更が不要となる場合もあるため、心配な方は一度、法務局に確認すると安心です。

登記簿の住所変更が義務化

2021年4月21日に成立(同月28日公布)した不動産登記法改正では、所有者不明の土地・建物の発生を防ぐため、住所等の変更登記の申請が義務化される方針が示されました。

 

住所変更登記の義務化は2026年4月28日までに施行され、住所などの変更日から2年以内に変更登記の申請がなく、登記漏れに正当な理由がない場合に5万円以下の過料の罰則の対象となることが示されています。

 

また、施行日前に住所等の変更があった場合は、経過措置として申請義務は施行日から起算して2年間です。
さらに住所変更登記の義務化が施行された際には、他の公的機関からの情報をもとに法務局の登記官が職権で変更登記を行う仕組みについても導入が検討されています。今後の動向についてもチェックしておくとよいでしょう。

登記の住所変更における必要書類

登記の住所変更における必要書類

不動産登記名義人の住所変更をする際には、いくつか必要書類があります。あらかじめ必要書類を把握しておかないと、書類の不備につながり、手続きがスムーズに進められません。

手続きに時間をかけずに済むよう、不動産登記名義人の住所変更を行う際にどのような書類を準備すればいいのか、さっそく見ていきましょう。

必要となる書類

不動産登記名義人の住所変更を行うにあたり、必要となる書類は下記の通りです。

 

【不動産登記の住所変更時に必要な書類】
・登記申請書(変更の登記)
・住民票や戸籍の附票など住所変更の事実がわかる書類

 

上記は、自身の状況に関わらず、住所変更登記で必ず求められます。
役所まで取りにいく場合も、郵送で申請して届けてもらう場合も、余裕を持って準備を進めましょう。

 

代理人に住所変更手続きを依頼する方は、上記の書類以外に委任状を準備します。

場合によって必要となる書類

上記で説明した“住所変更の事実がわかる書類”は、不動産登記名義人の住所変更の理由によって必要となる書類が異なります。

 

具体的にどのようなケースで、どのような書類が必要となるのかは、以下の通りです。

 

【自身の状況によって用意すべき書類】
・転居での住所変更:住民票もしくは戸籍の附票
・転居での住所変更:戸籍の附票(転居回数が2回以上の場合)
・町名・地番の変更:住民票もしくは町名地番変更証明書
・住居表示の実施:住民票もしくは住居表示実施証明書

 

自身が不動産登記名義人の住所変更を行う状況に応じて、必要となる書類をチェックしましょう。

上記で紹介した書類は、いずれも役所で入手できますが、請求する書類の種類によって管轄する役所が異なります。たとえば、住民票は、住所地を管轄する役所で発行されますが、戸籍の附票は本籍地を管轄する役所で発行されます。


不安な方はあらかじめ問い合わせて確認しておくと安心です。

不動産登記名義人の住所変更を自分で行う方法と各費用

不動産登記の住所変更を自分でやる方法と各費用

不動産登記名義人の住所変更を自分で行いたい場合、どのような方法で手続きを進めればいいのかをあらかじめ把握しておかなければなりません。
ここからは、自分で手続きを行いたい方に向けて、不動産登記名義人の住所変更の方法と具体的な費用について紹介します。

必要書類を揃える

自分で不動産登記名義人の住所変更を行う際は、まず住民票や戸籍の附票など住所変更の事実がわかる書類を揃えましょう。

登記申請書は、住所移転した正確な日等が分からないと作成できないからです。

郵送で住民票や戸籍附票などを取り寄せる必要がある場合は、取り寄せるのに時間がかかることもしばしばあります。登記手続きの日があらかじめ決まっている場合は、時間に余裕を持って交付申請をしましょう。

役所へ直接書類を取りに行くときは、基本的には平日のみの開庁であることから、仕事などでなかなか準備ができない方もいるかもしれません。どうしても役所に足を運ぶ時間がなければ、代理人に依頼して住民票や戸籍の附票を申請してもらいましょう。市区町村指定の委任状を作成して代理人に渡すことで、本人以外でも必要書類の申請が可能です。

次に、登記申請書を作成します。

登記申請書は、法務局や出張所などで入手できるほか、法務局の公式サイトから様式のダウンロードができ、記載方法の案内もあるため、参考にするとよいでしょう。
自宅にパソコンとプリンターがあれば、ダウンロードして手軽に印刷できるため、おすすめです。

 

法務局へ申請する

必要書類を揃えたら、法務局で申請します。
法務局での申請方法は「法務局に行って申請する方法」と「オンラインで申請する方法」「郵送で申請する方法」があります。

 

法務局に行って申請する場合は、登記申請書と前項で触れた必要書類を持参し、窓口で申請すれば完了です。登記申請は、不動産の所在地を管轄する法務局で行う必要があるので、申請前に必ず管轄法務局を調べましょう。

オンラインで申請する場合は、申請の際にマイナンバーカード等が必要になるほか、「申請用総合ソフト」のインストールや、電子署名の設定などの事前準備が必要です。


その後、役所で住民票コード通知票を取得して、「申請用総合ソフト」から住所変更登記の申請を行うので、自力では手続きのハードルが高いといえます。

郵送で登記申請をする場合は、登記申請書と必要書類を封筒に入れて書留郵便や信書便で、管轄法務局宛てに送りましょう。

自分で手続きする場合の費用

不動産登記名義人の住所変更を自分で行うときに主にかかる費用は、登記申請時にかかる税金(「登録免許税」といいます。)と住民票等の添付書類の発行にかかる手数料等です。
具体的な金額目安は、下記をご確認ください。


登録免許税

不動産(土地または建物)1物件につき1,000円

※ただし、地番の変更や住所表示実施による変更の場合は、登録免許税は非課税です。

住民票の発行手数料(役所) 200~400円程度
登記事項証明書交付手数料(最寄りの法務局)

・登記所窓口での請求600円

・郵送での請求500円

・オンライン請求窓口交付480円

戸籍の附票(役所)

300円程度

各種郵送料

(役所から郵送で書類を取り寄せたり、法務局へ郵送申請したりする場合)

・郵送基本料金:84円から

・一般書留 郵送基本料金+435円

・簡易書留 郵送基本料金+320円

 

不動産登記の住所変更を専門家に依頼する方法と各費用忙しくて手続きの時間が確保できない方や、自分で手続きを行うことに不安がある方は、専門家(司法書士)への依頼がおすすめです。 不動産登記名義人の住所変更を司法書士に依頼する方法や費用について見ていきましょう。

必要書類を揃える

まずは、自分で手続きするときと同じく必要書類を準備しましょう。 依頼する司法書士によっては、必要書類を取り寄せてくれることもありますが、多くの司法書士事務所では必要書類の取り寄せに手数料がかかります。

必要書類の取り寄せを自分で行うことで、依頼費用を少し安くできるケースもあります。事前に依頼予定の司法書士に問い合わせたうえで、必要書類を自分で準備するか、任せるかを検討してもよいでしょう。

司法書士に手続きを依頼する

次に、信頼できる司法書士に相談し、手続きを依頼します。

司法書士の探し方は、一般的にインターネットでの検索が多いです。 そのほかにも、各都道府県に設立設置されている司法書士会に相談して紹介してもらうこともできます。

司法書士会に相談すれば、無料で近隣の司法書士を紹介してもらえるうえ、紹介される司法書士は司法書士会の実施する相談会を日常的に任されている、登記相談に慣れた司法書士であることが一般的ですので、メリットがあります。「誰に相談したらいいのかわからない」と悩んだときは、インターネットのほか、司法書士会への相談も検討してみてください。

司法書士に依頼する場合の費用

そして、司法書士に依頼が完了したら「報酬」として費用を支払います。

料金設定は司法書士によって大きく異なるのが現状で、一概には言えませんが、住所変更登記手続きのみを依頼する場合であれば、2万円前後であることが相場ですので、依頼先を探す際の目安にしてみてください。

また、稀ではありますが、司法書士の中には、極端に高い料金設定で手続きを代行しているケースもあります。 損をしないためにも、複数の司法書士に見積もりを取ったうえで、依頼先を決めましょう。

不動産登記の住所変更は正しい手続き方法と必要書類を理解して進めよう不動産登記名義人の住所変更は、正しい手続き方法と必要書類を理解したうえで進められるとスムーズです。

手続きを進める際は司法書士への依頼の有無に関わらず、ある程度のお金がかかります。手続きの際は慌てることのないように、あらかじめ各費用面についても把握しておくことが重要です。

また、手続きに不安がある方は、無理に自分で行わずに司法書士に依頼することも視野に入れましょう。スムーズかつ、短時間で手続きが完了するので、手続きの負担を軽減できます。

今回紹介した内容を参考にしながら、自身に合った方法で不動産登記名義人の住所変更手続きを進めてみてください。

登記など不動産に関する手続きの不明点は、住宅展示場でもご相談いただけます。 ご予算や家族構成、理想のライフスタイルなどをお気軽にご相談ください。 きっとあなたにぴったりの暮らし方が見つかるはずです。