引越しで住所変更しないと、どんなリスクがある?窓口以外の申請方法も紹介

2021年4月13日

引越しの際、忘れてはいけないのが住所変更です。住所変更をしないと法律違反に問われる恐れがあるだけでなく、公共のサービスを受けられないなどのデメリットがあります。住所変更を迷っている人は、住所変更が必要な理由やデメリットを確認しましょう。この記事では、住所変更しないリスクや具体的な住所変更の手続き方法を紹介します。

引越しによる住所変更の必要性

引越ししたばかりの家族

住所変更をしない場合、法律違反に問われるリスクがあります。こちらでは、住所変更とはどのような意味があるのか、なぜおこなわねばならないのかを紹介します。

住所変更とは住民票の移動のこと

住民票は、市区町村内に済むすべての住民に与えられる、氏名、生年月日、性別、住所などが記されたものです。子どもが学校に通うときや国民年金、国民健康保険といった行政手続きは、この住民票に基づいておこなわれます。これらの提出時には当然、正確な情報が記載されている必要があるため、居住地を変更する際に住民票の移動が必要となるのです。

引越し後14日以内に届け出が必要

住民票の移動は、「住民台帳基本法」に記載された義務です。転居した人は、転居から14日以内に住所変更の届出をおこなうことが定められています。これを怠ることは法律違反に該当するため、「住所変更しない」という選択肢はありません。

引越しで住所変更しないデメリット

新住所に届かない郵便物の山

住所変更を怠ると、罰金が発生する・公的書類が届かない・必要な公的証明書をすぐに用意しにくい・公共のサービスや補助金を利用できないというデメリットがあります。こちらではそれぞれを具体的に紹介します。

罰金が発生する

正当な理由なく住所変更をせずにいると、5万円以下の過料を科されるケースがあります。多少の遅延なら口頭注意のみで済むこともありますが、あまり望ましいことではありません。住民票を移動しない理由が悪質とみなされれば、高額な過料を科される恐れがあります。必ず期限内に住所変更をおこないましょう。

公的書類が届かない

国や地方自治体からの郵便物は、住民票に書かれた住所に送られるのが基本です。住所変更を怠っていると、重要な書類を受け取れなかったり、受け取るのに時間がかかったりする可能性があります。

必要な公的証明書をすぐに用意しにくい

住民票が旧住所のままだと、公的な証明書を用意できません。例えば何かの手続きで住民票や印鑑証明、所得証明書などが必要になったとき、旧住所の市区町村役場まで出向くこととなる場合があります。大切な契約をするときや、会社に証明書を提出する場合などに苦労するかもしれません。

公共のサービス・補助金などを利用できない

住民票を移動しないままだと、新しい居住地の市区町村サービスを利用できません。基本的に図書館などの公的施設、ゴミ処理センターなどは、そこに居住している住民のためのもの。部外者の利用を制限するため、利用の際に住民票の提示を求められることがあります。また住宅補助や助成金も、住民票のある場所でしか申請できません。新住所で利用できそうな制度や補助金があっても、住民票が旧住所のままでは対象外です。

引越しによる住所変更の手順

カレンダーに予定を書き込む女性

住所変更は、旧住所の役場で転出届を出し、新住所の役場で転入届を出します。詳しい流れを見ていきましょう。ただし、詳細については市区町村によって異なる場合があります。いずれの場合も、事前にHPや電話で確認することをおすすめします。

手順①旧住所の役所に転出届を提出する

転出届の提出は以下の流れでおこないます。

  • 転出届を記載する
  • 転出届を提出する
  • 転出証明書を受け取る

これらの手続きができるのは、基本的に引越しをする本人、世帯主、または本人と同一世帯の人です。手続きの際は以下のものを持参しましょう。

  • 記載済みの転出届
  • 本人確認書類
  • 印鑑

転出届は役所・役場でもらえます。本人確認書類は、運転免許証やパスポートを用意すれば大丈夫です。受付は引越しの14日前から引越し当日までなので、その間に都合が付くようスケジュールを組みましょう。

手順②新住所の役所に転入届を提出する

転入に関する手続きは、引越し先の市区町村の役所でおこないます。以下のものを持参して役所に足を運びましょう。期限は、旧住所で転出証明書を発行してもらってから14日以内です。

  • 転入届
  • 転出証明書
  • 本人確認書類
  • 転入する全員分のマイナンバーカード通知またはマイナンバーカード
  • 印鑑

転入届は、新住所の役場・役所に用意されているものに記載します。また転入の手続きでは、マイナンバーカード情報の変更手続きも必須です。マイナンバーカード通知やマイナンバーカードを持参するのを忘れないようにしてください。

【番外】同じ市区町村内の引越しは、転居届を提出する

同じ市区町村内で引越しする場合は、転出ではなく転居です。以下のものを用意して居住地の市区町村の役所に足を運んでください。手続きの期限は引越し後14日以内です。

  • 転居届
  • 本人確認書類
  • 転居する全員分のマイナンバーカード通知またはマイナンバーカード
  • 印鑑

転居届も、役所・役場で用意されているものを使います。こちらも期限があるので、手続きは早めがベターです。

【注意】運転免許などの住所変更も忘れずに

居住地が変わったら、新住所を管轄する警察署や運転免許更新センターなどで住所変更をおこないましょう。持参するものは以下の通りです。

  • 運転免許証
  • 申請書
  • 現住所が分かるもの

申請書は申請場所に置いてあるので、現地で記載すれば問題ありません。現住所が分かるものは、住民票や公的機関が作成した郵便物などを用意します。現行の道路交通法では、住所変更の期限は定めていません。とはいえ、忘れないよう早めの手続きがおすすめです。

引越し後、住所変更に行けないときの申請方法

住民異動届の上に並んだフィギュア

役所へ住所変更に行けないときは、代理人を立てる・郵送する・特例制度を利用するなどの方法があります。ただし、こちらも居住地の市区町村によって異なる場合があるため、事前の確認が必須です。住所変更に行けないときの一般的な申請方法を紹介します。

方法①代理人を立てる

委任状があれば本人やその家族、世帯主以外でも住所変更の手続きをおこなえます。転出・転居のどちらの手続きでも問題ないとするのが一般的です。どうしても都合が付かない場合は、別世帯の親や兄弟姉妹、あるいは知人・友人に頼んでも良いでしょう。本人や家族、世帯主以外が転出・転居手続きをおこなう場合は、以下のものを持参します。

  • 転出または転居届
  • 委任状
  • 代理人の本人確認書類
  • 代理人の印鑑

代理人の本人確認書類も、運転免許証やパスポートがあれば問題ありません。なお、委任状は市区町村のHPからダウンロードできるケースがほとんどです。取りに行く前に、HPをチェックしてみてください。

方法②郵送で提出する

転出・転居の手続きは郵送でも可能です。郵送での手続きでは、以下のものを用意しましょう。

  • 郵便請求用の転出または転居届
  • 本人確認書類の写し
  • 返信用封筒

本人確認書類は、届出人本人のものを用意します。また、返信用封筒は転出証明書を送るためです。表には自分の名前や住所を記載し、切手も添付しましょう。ただし転入手続きは郵送ではできないため、マイナンバーカード通知またはマイナンバーを持参して役所に行く必要があります。

方法③転入届の特例を利用する

住民基本台帳カードまたはマイナンバーカード(個人番号カード)があれば、転入届の特例を利用できます。これはいわゆる電子申請で、転出証明書がなくても転入先の市区町村役場で転入手続きできるというものです。役所へ足を運んで転出手続きをする手間が省けます。ただしこの特例を利用するためには、あらかじめ転出地の市区町村に『転入届の特例による転出届』を郵送、または窓口に届出を提出しておくことが必須です。

なお、マイナンバー情報の変更は必ず役所に行く必要があるため、転入手続きは電子申請できません。

引越ししたら早急に住所変更をしよう

家と車のオブジェ

引越し後に住所変更せずに放置すると、公的なサービス・補助を受けられなかったり大切な書類を受け取れなかったりとさまざまなリスクがあります。どうしても手続きに行けないときは代理人・郵送・電子申請などの方法を選択してください。住所変更せずに放置すると法律違反となる恐れがあります。引越ししたらなるべく早急に住所変更手続きをおこないましょう。