旗竿地とは? メリット・デメリット、注意点をわかりやすく解説

2024年1月27日

住宅用地の購入費用を抑えたい時、旗竿地(はたざおち)も選択肢の1つになります。ここでは、旗竿地に家を建てるメリットやデメリット、購入する前に知っておきたい注意点、デメリットを解消するプラン例について紹介します。

旗竿地とはどんな土地?

旗竿地は不整形地の1つです。四角形で平らな整形地ではない土地を不整形地と呼びます。旗竿地は不整形地の中でも、道路に接する間口の狭い細長い路地(竿部分)と、路地の奥に敷地(旗部分)がある形状で、呼び名の通り旗のような形をしている土地を指します。特に都市部に多く、整形地に比べて評価が低い傾向があるのも特徴です。

旗竿地のメリット

特殊な形状のため、旗竿地を敬遠する人も多いのですが、魅力を感じて、あえて旗竿地を選ぶ人もいます。旗竿地には具体的にどんなメリットがあるでしょうか? ここでは、旗竿地の7つのメリットを取り上げます。

土地の価格が安い

同じエリアの相場で考えた場合、一般的に整形地と不整形地では不整形地の方が単価は安く、旗竿地も近隣相場より価格が低くなります。例えば、路地(竿部分)の土地を含めると旗竿地の方が広いケースでも、奥の敷地(旗部分)と同じ面積の整形地が同程度の価格になる場合もあります。土地の価格を抑えられれば、住宅建築に多くの予算を回せるため大きなメリットとなるでしょう。

路地部分を駐車スペースなどに活用できる

旗竿地にある路地を活かさない手はありません。路地を駐車スペースとして活用すれば、奥の敷地に駐車スペースを確保せずに済むので、住宅スペースに余裕が生まれます。車を所有しない場合も、路地を家族の駐輪場などに利用することが可能です。

路地部分の面積で家を大きく建てられる可能性あり

敷地面積に対する建ぺい率や容積率によって、建築できる住宅の大きさに上限があります。
しかし旗竿地の場合、路地面積も算入すれば、奥の敷地面積だけでは建てられないような大きさの住宅を建てられる可能性があります。高さ制限が問題なければ、奥の敷地面積だけでは3階建てが建てられない場合でも、路地部分の面積を算入して建築できるケースがあります。

道路から離れるので騒音や事故の心配が少ない

旗竿地の奥の敷地は道路から離れるため、通行人の話し声などの雑音や車の騒音の影響を受けにくくなります。そのため道路沿いにある住宅よりも静かに過ごせるでしょう。また、道路から離れているメリットとして、道路沿いの事故に巻き込まれる危険性が減る点も挙げられます。特に小さな子どもがいる家庭の場合、道路への飛び出しリスクが軽減されるのは大きなメリットです。

プライバシー性が高い

旗竿地では路地の奥が住宅となるため、人目につきにくくなります。そのため、旗竿地に建築された住宅はプライバシー性が高く、人の目を気にせずに落ち着いて生活できるでしょう。

旗竿地のデメリット

旗竿地を候補として検討する際には、デメリットも把握しておくことが大切です。旗竿地には、以下のようなデメリットがあります。

風通しや日当たりが悪い

旗竿地の場合、住宅は建物に囲まれるケースが多く、風通しや日当たりが悪い傾向があります。そのため、どの方角に建物があるか周辺状況をチェックしておくと良いでしょう。また、風通しや日当たりが悪いことを前提に、建築プランで対策をとっておくのが得策です。

外溝工事のコストが高くなることも

旗竿地は長い路地があるため、通常より外溝工事のコストが高くなりがちです。隣家と路地との境にフェンスや塀を新設する、路地を駐車スペースにするためにコンクリートを敷くといった場合も、路地の長さ分の工事が必要なため、整形地よりも外構工事費がかさむでしょう。もし、隣家との境にすでにフェンスなどがあるなら、通常より少し外構工事費を抑えられるかもしれません。

路地部分をうまく活用しないとデッドスペースになる

旗竿地の大きな特徴と言える路地ですが、有効活用できなければ、住宅までの通り道となるだけで、デッドスペースになってしまいます。旗竿地を購入するなら、路地をうまく活かす設計プランが理想です。

間口が狭いので不便を感じることも

旗竿地の路地は、住宅に出入りする度に通らないといけないため、間口が狭いと不便になる恐れがあります。。旗竿地では間口の幅の確認は重要です。また、路地を駐車スペースにする予定があれば、車の横を通り抜けるのに問題ない幅があるか、車の乗降に無理のない幅があるかも合わせてチェックしましょう。

防犯面での不安が出やすい

旗竿地はプライバシー性が高いというメリットがある一方、防犯上では人目のつきにくさがデメリットになります。警備システムの導入など、防犯面の強化についても検討すると安心です。

後悔しないために! 旗竿地のチェックポイント

旗竿地のメリットとデメリットを比較して、もしメリットの方が多いと感じたら、いよいよ購入を検討する段階。買ってから後悔しないために、旗竿地を購入する前に必ず確認してほしいポイントをお伝えします。

路地部分の幅・奥行

旗竿地を検討するなら、路地部分の幅と奥行きの確認は必須です。

基本的に、路地の間口は最低でも2mないと住宅の建築ができません(詳細は「再建築不可の条件の有無」参照)。路地の奥行によっては、2m以上の幅が必要です。

また、路地が狭すぎると、工事をする際に重機が入らず、余計なコストがかかる可能性もあります。また、例えば路地を駐車スペースとして利用するなら、車幅以上の路地幅が必要です。一般的な自動車の規格で軽自動車は全幅1,480mm以下、普通自動車は全幅1,700mm以上です。車検証を見れば自分の車の正確なサイズが分かるため確認しましょう。ただし、車幅だけの確認では不十分で、乗り降りするためのスペースも考慮すべきです。そのため少なくとも2.5m、できれば3m以上の路地幅があると良いでしょう。

また、路地の前面の道路幅も合わせて調べておいた方が無難です。路地幅が2.5mあっても、前面の道路が4mしかない場合は、車の出し入れで何度もハンドルを切り返すことになります。したがって道路幅が4.5m以上あると安心です。

工事の重機が入るスペースの有無

工事用の重機が入るスペースがあるかどうかも考慮しておかないと、余計な工事のコストが発生しかねません。重機が入らない場合は工事の手間と時間がかさみ、費用が高くつくこともあります。重機が入れるスペースがあるのか、問題なく工事ができそうか、事前に確認することが大切です。また、引越しや買い替えの際に備えて、大型家具が通るスペースが十分あるかも確認しておきましょう。

水道・電気の引き込みの有無

旗竿地では、水道・電気の引き込みがあるかどうかによって工事費に大きな違いが出ます。水道の引き込みがなく、新たに引く場合は、路地が長くなるほど費用がかかります。また、水道メーターが敷地の奥側か、道路側にあるかによっても配管の長さが変わるので確認しましょう。

また、電線を道路の電柱から直接引けない場合は、敷地内に私設の支柱を設置しなければならないため、負担が増します。場合によっては、隣家の敷地の上を通して電線を引く可能性も出てくるでしょう。最初から水道と電気の引き込みがあると理想的ですが、ない場合には事前に見積もりをとって、予算上問題がないかチェックしてください。

再建築不可の条件の有無

再建築不可の条件が付いている旗竿地もあります。再建築不可の条件がある場合、新たに家を建てられません。敷地に古家がある中古物件の場合も、再建築不可なら基本的に建て直しや増築・改築ができないことを考慮しましょう。道路に接する路地の間口が2m未満の場合は、基本的に再建築不可の条件が付いていると考えられるでしょう(路地の奥行によっては2m以上でも再建築不可の場合あり)。

再建築不可となる理由については、「建築基準法」第43条の「接道義務」が関係します。「接道義務」とは、建築物のある敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接しないといけない決まりで、災害時に避難路を確保できない場所や、緊急時に緊急車両が入れない場所に住宅を建築しないために設けられているのです。ただし、「建築基準法」ができる前に建てられた住宅があるので、基準を満たさない再建築不可の物件も存在します。

旗竿地のデメリットを解消するプラン例は?

では、これらのデメリットをどのように解消したら良いのでしょうか。できる限りデメリットを減らすための例としていくつかのプランを挙げます。

中庭やベランダ、吹き抜けなどで採光対策

住宅の日当たりを重視する方にとっては、旗竿地のデメリットの中でも特に日当たりの悪さが気になるでしょう。日当たりの悪さを解消するためには、採光対策が重要です。採光をしっかり確保した設計プランにすれば、立地条件による日当たりの悪さを気にせず生活できます。採光対策を兼ねて、中庭やベランダ、屋上テラスを作って外からの明るさを取り入れたり、吹き抜けを作って家全体に光が差すようにしたりするプランはいかがでしょう。

2階に採光を確保したリビングをつくる

1つの住宅の中でも、方角や位置などによって部屋の明るさはまちまちです。例えば、寝室など日中に使わない部屋は、暗くてもそれほど気になりません。しかし、家の中で家族が長い時間を過ごし、くつろぐ空間には十分な採光対策が必要です。旗竿地の住宅では特に1階よりも2階の方が明るく、採光対策もとりやすいため、みんなで過ごすリビングを2階に作ってみるのも一案です。

路地部分を有効活用する

せっかくなら路地を有効的に使いましょう。活用法として多いのは駐車スペースや駐輪場ですが、その他にも活用法はアイデア次第。親子で遊ぶための遊び場にしたり、ちょっとしたガーデニングを楽しむ庭的な場所にしてみたり、さまざまに活用できます。路地を役に立つ、楽しめる場所にできると夢が広がりますね。

旗竿地のメリット・デメリットを知って、購入前にポイントをチェックしましょう

旗竿地の価格面のメリットは魅力的です。特に路地幅が十分にある旗竿地なら、デメリットよりメリットを感じやすくなります。旗竿地を購入する際には、デメリットや注意点も押さえて、納得できる条件で探しましょう。

旗竿地のような特殊な形状の土地の住宅建築を多く扱っているハウスメーカーもあります。実際に展示場に行って、旗竿地での建築プランについて相談してみませんか。