快適な住まいを作る断熱材とは。種類や特徴・選び方のポイントを紹介

2024年3月17日

断熱材とは、その名の通り熱を遮断する材料のことをいいます。この記事では、断熱材の種類や特徴、選び方のポイント、注意点を詳しく解説します。断熱材の種類や特徴を知り、選び方のポイントをおさえながら、さまざまなコストや性能のなかから自分たちに合うものを選んでくださいね。

住宅外部の暑さや寒さを防げる断熱材

リモコンと家の模型

断熱材とは、熱を断つ材料のこと。熱移動や熱伝導を防ぐために住宅外部からの暑さや寒さを防ぐ役割をします。室温を一定に保てるため、エアコンの使い過ぎを防げます。

選び方の断熱材のポイント

建築中の家

断熱材は種類ごとに特徴が異なります。そのため、断熱材は何に着目して選ぶかが大切です。熱伝導率・調湿性・不燃性に着目した選び方を紹介します。

熱伝導率に注目して選ぶ

熱伝導率とは、熱の伝わりやすさを表す数値のことをいいます。熱伝導率が低いほど、断熱性能が高いですがコストが高くなる傾向に。

湿気に強い耐熱材を選ぶ

断熱材は水に濡れてしまうと、断熱材として機能をしなくなります。湿気に弱い断熱材は、湿気を吸ってしまうとそのまま水分を含み続け、その水分がカビの発生や建物の劣化に繋がります。湿気への強さも重要です。

不燃性の断熱材を選ぶ

火災など万が一の場合のことも考え、燃えにくい断熱材を選択することも大切です。断熱材には燃えやすいものと燃えにくいものがあり、火災のときに有毒ガスを発生しないことも選ぶポイントでしょう。不燃性で断熱性能も高い断熱材は、その分コストが高くなる傾向にあります。

断熱材の種類と特徴

断熱材の入った建築中の家

断熱材には無機繊維や木質繊維、羊毛や炭化コルクなどの天然素材、発泡プラスチック系などの種類があります。

【無機繊維】グラスウール

ガラスを溶解して繊維状に加工したものです。壁や天井、床に施工が可能で、コストが低いため、広く普及しています。原料がガラスのため燃えにくいですが、湿気には弱いので防湿・結露対策が必要です。熱伝導率は0.033~0.050程度。

【無機繊維】ロックウール

玄武岩や鉄鋼スラグなどの鉱物を主原料とし、繊維状に加工したものです。グラスウールと同じように、燃えにくく熱に強い素材です。湿気には弱いですが、撥水性が高いのが特徴。熱伝導率は0.035~0.047程度です。

【木質繊維】セルロースファイバー

新聞紙や段ボール、おがくずなどを粉砕して綿状にしたもので、硫酸アンモニウムやホウ酸が加えられており、防虫作用や難燃性が高いです。吹き付けていく充填工法で施工されるため、隙間がなく気密性が高まります。また吸放湿性が高いため、内部結露が発生しにくい特徴もあってコストは高めです。熱伝導率は0.038~0.040程度。

【天然素材】羊毛

羊毛に体に優しい防虫加工を施したものです。羊毛は調湿力と断熱性能が高く、コストは高めです。羊毛自体は絨毯などでも使われている素材で、耐久性があります。熱伝導率は0.039~0.049程度。

【天然素材】炭化コルク

ワインの栓を作るときに出たコルクの端材を利用し、炭化させたものです。断熱や調湿、吸音性に優れていて、コストは高いです。自然由来の防虫効果もあります。熱伝導率は0.037~0.045程度。

【発泡プラスチック系】ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)

ビーズ状にしたポリスチレン樹脂を発泡させたものです。軽量でやわらかく、水を吸わないため、結露の防止にもなります。発泡プラスチック系の素材の中では、コストが低いですが、無機繊維の素材と比較すると、コストは高くなります。熱には弱く、熱伝導率は0.024~0.043程度。

【発泡プラスチック系】押出法ポリスチレンフォーム(XPS)

ポリスチレン樹脂を発泡させながら押し出し、固い板状に成形されたものです。素材はビーズ法とほぼ同じですが、ビーズ法よりもプラスチックの粒が小さめです。薄くて断熱性能が高いですが、熱には弱く、熱伝導率は0.024~0.043程度。

【発泡プラスチック系】硬質ウレタンフォーム

ポリウレタン樹脂に発泡剤を加えたもので、気泡に小さなガスが含まれており、このガスが熱の伝導を押さえてくれます。耐熱性に優れていますが、万が一、燃えてしまうと有毒ガスを発生する恐れがあります。コストは高めで、熱伝導率は0.023~0.040程度。

【発砲プラスチック系】フェノールフォーム

フェノール樹脂に、硬化剤や発泡剤を加えたものです。熱を帯びると硬化するため、非常に燃えにくい特徴があります。耐久性にも優れており、断熱効果を維持する期間が長いといわれています。ただし、他の断熱材よりも圧倒的にコストが高いです。熱伝導率が0.019~0.036と非常に低いです。

断熱材施工器具と対応するLED電球の選び方

光っている電球

断熱材を使用した天井に埋め込み型の照明器具を設置すると、高温などのトラブルが生じる恐れがあります。断熱材を用いた部分では、断熱材施工器具対象の照明を設置しましょう。

断熱材施工器具対応とは

断熱材施工器具とは、天井などに敷き詰められた断熱材を持ち上げるようにして取り付けられた照明器具のこと。断熱材を使用した天井に埋め込むと、照明器具の内部が高温になる恐れがあり、火災を引き起こす危険性があります。照明器具の寿命も短くなるといわれます。断熱材をフル活用したときには、高温になっても利用可能な「断熱材施工器具対応」の照明器具を選ぶとよいでしょう。

対応するLED照明・LED電球の選び方

LED電球は熱に弱く断熱材で放熱が妨げられると寿命が短くなり、火災の危険性があります。LED電球の多くは、断熱材施工用器具として使用を禁止していますが、なかには「断熱材施工器具対応」のものも。「一般社団法人 日本照明工業会」の基準に対応した断熱材施工器具対応の照明器具には「Sマーク」を表示されています。断熱材を導入している住宅の天井に埋め込み型の照明を取り付ける場合には、Sマークがついている埋め込み型のLED照明器具、LED電球を選びましょう。

住宅展示場で断熱材を相談してみよう

おもちゃの家

断熱材についてもっと気になる人は、お近くの住宅展示場で相談をしてみるのもおすすめです。気になるモデルハウスがあれば、ぜひ見学を。事前にチェックをして予約をしておくと、待ち時間なしで見学可能です。

快適な住まいのために断熱材を検討しよう

建設中の壁

断熱材には主に9つの種類があります。それぞれ性質が異なるので、何を重視するか決めて選んでください。例えば断熱性能が高いものを選びたい場合は、熱伝導率に注目すると良いでしょう。まずは重視するものを決め、自分たちに合う断熱材を選んでくださいね。