
家を建てる際に必要な費用は大体イメージできても、実際に住み始めてから発生する税金や維持費、修繕費などの費用は見落としがちです。住宅ローンの返済以外にも、さまざまな費用がかかるため、あらかじめ幾らくらい必要なのか把握しておくことが重要です。
本記事では、家を建てた後に発生する一時的な出費から、毎年の税金や維持費、将来の修繕費までを解説します。また、それらに備えるための資金計画や、住宅取得時に活用できる国や自治体の補助金・助成金についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

家が完成して引き渡しを受けた直後には、住宅購入費とは別にまとまった出費が発生します。見落としやすい費用もあるため、事前に確認しておきましょう。
新築住宅を取得すると、所有者であることを公的に証明するために登記が必要になります。登記には、国に納める「登録免許税」がかかります。さらに手続きを依頼する場合は、司法書士への報酬も必要になります。
新築住宅の場合、建物の所有権を登録する「所有権保存登記」、土地の所有権を登録する「所有権移転登記」、住宅ローンを利用する場合は金融機関が担保を設定する「抵当権設定登記」の3種類の登記が必要になります。
司法書士報酬の相場は約10〜15万円で、登録免許税と合わせると新築の場合はおおよそ20〜30万円が目安です。登録免許税は、「課税標準額(固定資産税評価額)×税率」で計算し、税率は登記の種類によって異なります。
一定の要件を満たすと軽減税率が適用されるため、事前にハウスメーカーや司法書士に概算を確認しておくと安心です。
不動産取得税は、土地や建物を取得したときに一度だけ課される税金です。申告してから数ヵ月後に納付書が届くため、想定外の出費とならないように注意しておきましょう。
税額の算出方法は、「課税標準額(固定資産税評価額)×税率」です。税率は4%ですが、令和9年3月31日まで特例措置として3%に軽減されています。
また、新築住宅では床面積50平方メートル以上240平方メートル以下などの要件を満たすことで、固定資産税評価額から1,200万円が控除される軽減措置が設けられています。要件を確認したうえで、適切に申告手続きを行うことが大切です。
参考
新居への引っ越しにも、まとまった費用がかかります。3LDKの家族の引っ越しでは、約10〜15万円が目安です。荷物が多い家庭や繁忙期(3〜4月)の引っ越しには20万円以上かかることもあります。
新しい間取りに合わせて家具や家電、カーテン、照明などを買い替えるケースも多く、まとめて購入すると数十万円から100万円を超える場合もあります。
引っ越し費用を節約するには、複数の業者から見積もりを取り、比較検討することが大切です。また、繁忙期や土日を避けて引っ越すと、料金を抑えられる可能性があります。

入居後は、毎年継続して発生する支出と、10~20年を目安に訪れる大きな支出があります。長期的な視点で把握しておきましょう。
家を所有していると、固定資産税と都市計画税が毎年かかります。固定資産税は土地・建物に対して標準税率1.4%、都市計画税は市街化区域内の住宅を対象に標準税率0.3%が課されます。いずれも固定資産税評価額をベースに算出され、市町村から届く納付書に従って納付する形が一般的です。
新築住宅には軽減措置があり、建物部分の固定資産税が3年間(認定長期優良住宅は5年間)半額に減額されます。軽減期間が終わると税額が上がるため、その後の家計負担を見越して準備しておきましょう。
参考
毎年発生する維持費として、火災保険料や地震保険料があります。住宅ローンを利用する場合、金融機関から火災保険への加入を求められるケースが一般的です。地震保険は、火災保険に付帯して契約する仕組みの保険であるため、単独契約ができず、火災保険とセットで加入する必要があります。
保険料の目安は、火災保険と地震保険の合計で約3〜5万円/年とされています。耐震性能によって地震保険に割引制度が適用されるほか、火災保険にも新築・オール電化・耐火性能などによる割引があるため、契約時に確認しておきましょう。
家は建ててから年月が経つにつれ、劣化していきます。外壁塗装や屋根の補修、水回りや給湯器の交換など、築10〜20年を目安に数十万円〜100万円の修繕費が発生します。日頃から点検や手入れをこまめに行うことで、劣化のスピードを遅らせることは可能です。いずれにせよ将来の修繕に備えてお金の準備が必要です。

家を建てた後の出費に備えるためには、家計に余力をつくっておくことが重要です。無理のない資金計画や、補助金・助成金の活用、計画的な積立などで、いざというときの負担を軽くできます。
家を建てる前の時点で意識したいのが、手持ち資金のすべてを頭金に充てないことです。家を建てた直後には登記費用や不動産取得税、引っ越し費用、家具・家電の購入費など、数十万円から100万円以上の出費が重なります。
住宅ローンの月々の返済額を減らすために頭金をできるだけ多く入れたくなりますが、入居後のまとまった出費に対応できる手元資金を残しておくほうが、家計の安定につながります。
入居後は、家計に余裕が出てきたタイミングで繰り上げ返済を検討するなど、資金計画を見直すのがよいでしょう。資金計画に不安がある場合は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するのもおすすめです。
省エネ性能の高い住宅を新築する場合、国や自治体の補助制度を活用できる可能性があります。代表的なのが、「住宅省エネ2026キャンペーン」の一環として実施されている「みらいエコ住宅2026事業」です。
新築の補助額は、ZEH水準住宅で35万円/戸、長期優良住宅で75万円/戸、GX志向型住宅で110万円/戸が基本です。地域区分が1~4(北海道・東北を中心とする寒冷な地域)の場合は、それぞれ40万円・80万円・125万円となります。
建て替え前の住宅を除却する場合には、長期優良住宅・ZEH水準住宅でさらに20万円が上乗せされます。
なお、ZEH水準住宅・長期優良住宅については、補助対象が子育て世帯または若者夫婦世帯に限られる点に注意が必要です。
そのほか、ZEHやZEH+を対象とした新築戸建ZEH補助事業もあり、要件を満たす住宅であれば活用できます。住宅ローン控除は、年末のローン残高の0.7%を最大13年間にわたって所得税・住民税から控除できる制度です。2030年12月31日まで延長されることが決まっています。
また、東京都の「東京ゼロエミ住宅」のように、自治体独自の補助制度が用意されているケースもあります。制度の内容や予算枠は年度ごとに変わるため、最新情報をご確認ください。
参考
修繕費に備える積立額の目安は、約2〜3万円/月です。たとえば月2万円を20年間積み立てると480万円となり、外壁・屋根の塗り替えや給湯器の交換など、節目で訪れる大きな出費にもある程度対応できる規模になります。
ただし、住宅の規模や仕様、家族構成によって必要額は変わります。子どもの教育費や車の買い替え、老後資金など、他のライフイベントと並行して資金計画を立てることが大切です。

家を建てた後にかかる費用を計画的に積み立てておくことで、将来の不安を減らせます。直後に発生する費用と、長期的にかかる費用の両方を把握し、補助金や減税制度も上手に活用しながら、無理のない資金計画を立てておきましょう。
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