誰もが暮らしやすいユニバーサルデザイン住宅。メリットや住宅例を紹介

2024年1月8日

ユニバーサルデザイン住宅とは、誰もが暮らしやすいように考えられた住宅のこと。近年、ユニバーサルデザインを取り入れた住宅が増えつつあります。本記事ではユニバーサルデザイン住宅について、間違えられやすいバリアフリー住宅との違い、ユニバーサルデザインを取り入れた住宅の例を紹介します。

ユニバーサルデザイン住宅とは

ユニバーサルデザインの考え方は、アメリカのロナルド・メイス博士が中心となり1980年代に提唱しました。その内容は建物や製品、環境などのデザインを年齢や能力や置かれた状況などに関係なく、皆が使いやすいようにしていこうというものです。日本では1990年代前後に認知され始めました。

住宅のユニバーサルデザインは住む人それぞれのライフステージにかかわらず、皆が生活しやすいように工夫されています。

ユニバーサルデザイン住宅の原則とバリアフリー住宅との違い

ユニバーサルデザインには、考え方が伝わるようにまとめられた7つの原則があります。また、ユニバーサルデザイン住宅に似た言葉で、バリアフリー住宅があります。ユニバーサルデザインの7つの原則やバリアフリー住宅の違いを見ていきましょう。

ユニバーサルデザインの7つの原則

メイス博士創設の「ユニバーサルデザインセンター」は、7つの原則を以下のように発表しています。

  1. 公平性:誰しもが入手できて、使うことができる
  2. 自由度:柔軟な使い方ができる
  3. 単純性:誰しもが使い方を簡単に理解できる
  4. 明確さ:誰しもが情報を得られる
  5. 体の負担の少なさ:力は必要なく楽に使える
  6. 安全性:もし間違えたとしても重大な過失にはならない
  7. 空間性:誰しもがアクセス可能な大きさや広さがある

ユニバーサルデザイン住宅とバリアフリー住宅の違い

ユニバーサルデザインに似た言葉としてバリアフリーがあります。しかしユニバーサルデザインとバリアフリーは対象者と目的が違います。バリアフリーは高齢者や体の不自由な人が対象で、彼らが社会生活を営む上で壁になるものを除外するという考え方です。

一方、ユニバーサルデザインはすべての人が対象で、すべての人の使いやすさを考えてデザインされています。このような考え方の違いから、ユニバーサルデザイン住宅とバリアフリー住宅も、対象者と目的が異なります。 

ユニバーサルデザイン住宅のメリット・デメリット

ユニバーサルデザインが持つ特徴によって得られるメリットがある一方で、気を付けなければならないデメリットもあります。ユニバーサルデザイン住宅のメリットとデメリットを解説します。

ユニバーサルデザイン住宅のメリット

ユニバーサルデザイン住宅のメリットは、誰もが使いやすい住宅であることが1番のメリットです。10年先、20年先に家族がどの年齢になっても、またケガや病気に見舞われたとしても、快適に過ごせるようにデザインされているため、将来への安心感につながります。

ユニバーサルデザイン住宅のデメリット

ユニバーサルデザイン住宅は一般的な住宅に比べて、コストがかかります。例えば、高さの調節が可能な可動式の洗面台や自動式水栓などは、一般的なものよりもコストが高めの傾向です。また、廊下やトイレなどのスペースを広くすると、他の空間が狭くなることもあります。

ユニバーサルデザインを取り入れた住宅例

ユニバーサルデザイン住宅ではどのような考慮がされているのか間取りごとに例を紹介します。ぜひ参考にして取り入れてみてくださいね。

【玄関】出入りしやすい扉が設けられている

開口が85センチ以上あり、車椅子も出入りできる玄関。ハンドルを軽く押すだけで、扉を開けられる仕様のものもあります。鍵の施錠や開錠もボタンを押すだけなど動作がシンプルで、ドアの隙間で子どもが指を挟まないような安心構造です。ベンチを設置して、靴が脱ぎ履きしやすいようにしているものもあります。

【廊下】車椅子が通れるくらいの幅がある

車椅子の通過や回転ができるくらいの幅が確保された廊下。将来手すりを設置できるようにも考えられたつくりのものが多いのも、ユニバーサルデザイン住宅の特徴です。長さはできるだけ短めにして直線状にするのがポイントです。曲がり角の角部分の保護や、廊下と各部屋の段差をなくすとより安心して暮らせるでしょう。

【階段】転倒を防ぐように設計されている

大きな転倒事故を防げるL字型の階段。踏み板の表面に滑りにくくつまずきにくいように加工されたものや、階段の角の部分にやわらかい素材を使ったものもあります。手すりや足元にLEDライトを設置すると、夜の移動も安心です。

【リビング】ケガ防止の扉や住宅設備の自動化を取り入れている

開けたり閉めたりする時に自動的に減速して、ゆっくり引き込まれる仕様の扉が設置されたリビング。扉の閉め忘れを防止するとともに、誤って指を挟んでしまわないように配慮した安全設計という側面もあります。

他にも、住宅設備や家電をインターネットにつなぎ、アプリ上の設定や音声操作によって遠隔で操作や確認ができるリビングがあります。外出中でも窓のシャッターを閉めたり、エアコンをつけたりできます。

【キッチン】家事動線を確保し、使いやすい収納を設置している

ユニバーサルデザイン住宅では、家事や生活の動線がコンパクトな動きで済ませられるものが多く見られます。キッチンの両側を動線として使えるアイランドキッチンもおすすめです。

キッチンの上部収納がボタンひとつで自動的に昇降して、目の高さまで下りてくるものもあります。開口部も広くなっていて棚から必要な物が見やすく楽に出し入れできるのが良いですね。収納の取手も指がかかりやすくなっていて、引き出しやすく配慮したデザインになっています。

【トイレ】車椅子や介助者が入れる広さがある

便座付近に手すりが設置されたトイレ。立ったり座ったりする動作をサポートしてくれます。寝室の近くにトイレを設置すると、転倒事故や冬場のヒートショックを防げます。また、車椅子や介助者が入れる広さを設けるのもポイントです。

便器は通路に対して直角に設置するのではなく、開口を大きくできるように通路と平行に設けられている場合が多いようです。便器の大きさや奥行をコンパクトに設計することで動作の空間を広げられます。

自動で蓋が開閉したり水が流れたり、誰でもひとりで用が足せるように考えられているものもあります。夜間にトイレの眩しさで眠気を覚ましてしまわないよう、センサーが人を感知し、便器の内部や便器周辺の足元、洗面器などを優しく照らす照明を取り入れるのも良いでしょう。

【浴室】浴槽が低く、暖房も設置されている

床面と浴槽へ入るときにまたぐ縁の部分との高低差が40センチ前後の浴槽。段差を可能な限り低くすることで体のバランスを崩して転倒する危険を回避できます。また、冬場は室温に比べ、風呂の温度は低くなりがちです。温度差により血圧が上昇してしまうことが考えられるため、浴室暖房などで温度を一定に保ちましょう。

ユニバーサルデザイン住宅を見学してみよう

実際にユニバーサルデザインを見学しに、住宅展示場へ足を運んでみましょう。事前予約をすると待ち時間なしで見学できます。ユニバーサルデザイン住宅を検討中の人におすすめの住宅展示場を紹介します。

tvkハウジングプラザ湘南平塚

多くのハウスメーカーのユニバーサルデザインに通じる取り組みを知ることができます。使い勝手を配慮したキッチンや室温を一定に保つ家など、最新設備を見られます。リフォームやリノベーションの相談も可能です。

ユニバーサルデザイン住宅の特徴を知り、家づくりを考えよう

ユニバーサルデザイン住宅は、現在の暮らしだけでなく将来にわたって安心に住める家としてさまざまな配慮がされています。これから家づくりを考える人は、ぜひこの記事を参考に理想のイメージを膨らませてみてくださいね。