台風に強い窓ガラスの選び方とは。大型災害にも負けない安全対策を考えよう

2024年2月12日

日本は、台風による被害が多い国です。残念ながら自然災害を起こさない方法はありませんが、大型災害に備えて対策をとることは可能です。ここでは、窓ガラスの種類を紹介しつつ、それらが台風に強いかどうかを解説します。また、窓ガラス以外に設置しておくと良いものなども紹介しましょう。

窓ガラスの種類。台風に強いかどうかをそれぞれ解説

機能ガラスの断面図

一般ガラスや機能ガラスなど、窓ガラスにはさまざまな種類があります。なかでも、台風対策には2枚以上のガラスを使った強化複層ガラスや、防犯複層ガラスが効果的と言われています。それぞれ、特徴が活きる場所へ導入しましょう。ここでは窓ガラスの種類について解説します。

強化複層ガラス

2枚以上のガラスの間に、乾燥空気や質量の重いガスを封入したものが、強化複層ガラスと呼ばれる機能ガラスです。万が一ガラスが割れても、尖った破片にならず細かい粒状になるため怪我を防げます。また風圧に強く、同じ厚さの板ガラスに比べ約3〜5倍の耐風圧強度を持ちます。

断熱効果もあるため、ヒートショックの予防にも役立つでしょう。さらに結露の発生も抑えるので、カビの発生を抑制し、アレルギー予防にも効果的です。

防犯複層ガラス

機能ガラスの一種である防犯複層ガラスは、ガラスの間に樹脂でできた特殊中間膜や、特殊な板を入れています。このような防犯タイプのガラスは、防災にもおすすめです。飛来物が当たって割れたとしても、ガラスの破片が飛散しにくく、耐貫通性も高いでしょう。

ほかにも防音・断熱・防露・UVカットができる窓ガラスもあります。

ペアガラス

ペアガラスは、日本のガラスメーカーAGCの登録商標です。先述の強化複層ガラスをペアガラスと呼ぶ場合もあります。そのため、台風などの災害対策になると思われていることが多いですが、本来のペアガラスは「断熱」「遮熱」が目的です。

2層のガラスでできていますが、一般的なガラスが使われているため衝撃に強いわけではありません。台風の対策としては効果が低いと言えます。

一般ガラス

一般建築物やショーケースなどに使われる透明なフロート板ガラスは、透視性や採光性が良いですが、強度や防音などの特別な機能はありません。その他にも一般ガラスには、加工の違いによってさまざまな種類があります。片側に模様を施しプライバシーを守る型板ガラスは、家具や間仕切り、トイレや浴室など外からの視線が気になる場合に使われます。

スリ板ガラスは、ガラスの反面にすり加工をした半透明のガラスです。光を拡散させ、やわらかい光を取り入れます。

窓ガラス以外にできる台風対策

シャッターを閉めた住宅

窓ガラス選びだけでなく、家を建てるときに取り入れられる台風対策アイテムは他にもあります。台風に強い窓ガラスと組み合わせて使えば、台風への対策を強化できるでしょう。ここでは、そんなアイテムそれぞれの特徴をみていきます。

シャッター

窓をしっかり守るシャッターは、窓ガラスが割れるのを防ぎます。電動シャッターならボタンひとつで窓をガード。上部のシャッターケースに収納できるので、見た目もスッキリするでしょう。シャッターをつけて、飛散防止ガラスなどの機能ガラスを選ぶのが台風対策には有効です。

雨戸

雨戸も窓ガラスが割れるのを防ぎます。シャッターとの違いは、引き違い方式という点です。シャッターよりも安く設置できますが、開閉時は必ず窓を開けるという手間があります。

格子

格子は風による飛来物から、窓ガラスが割れるのを防ぎます。また防犯やプライバシー保護にも効果的です。デザイン性の高い格子であれば威圧感を与えず、家の見た目も良くするでしょう。

台風前にやっておきたい安全対策

非常用持出袋

台風が来たときに慌てないためにも、普段から備えておきましょう。ここでは、台風前にできる準備や階数に合わせた対策などを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

台風を普段から意識する

避難場所や、ハザードマップで危険度をチェックしておく、家族と避難場所や連絡方法を話し合っておくなど、普段から台風当日に関わる事柄の確認が重要です。

飲料水や日持ちする食料、常備薬、薬、紙おむつ、マスク、現金や通帳、保険証など、最小限必要なものはカバンにあらかじめ入れておきましょう。持ち運ぶときに両手が使えるよう、リュックにすると安心です。そして当日は、注意報や警報などの防災気象情報にしたがって、早めの行動を心がけましょう。

窓を補強する

台風の際は、窓ガラスを突き破って植木鉢のような飛来物が飛び込んでくる可能性があります。

手軽にできる応急処置は、段ボールや養生テープを貼る方法です。防犯フィルムや飛散防止フィルムも効果的と言われています。しかし、これは窓ガラスが割れるのを防ぐためではなく、あくまでも応急処置としての対策なので、災害に強い機能ガラスに変えるのが1番良いでしょう。

2階以上にもシャッターを設置する

窓ガラスは、強風で割れるというよりは、風で飛来したもので割れてしまう危険の方が高いと言われています。一般的に建物は高層階になるほど風が強いので、2階以上にもシャッターを設置することをおすすめします。

床下浸水が心配なら、ホームセンターで土嚢を買い、敷地に水が入らないよう対策をしましょう。前もって貴重品や衣類を2階以上へ移動させておくと安心です。

家の周りの安全対策を徹底する

普段から建物外装、物置などの傷み、釘やねじが外れていないかを確認しておきましょう。側溝や排水溝を掃除して、水はけを良くすることも大切です。

台風前日には、植木鉢や自転車など風に飛ばされそうなものや傷つくと困るものは屋内にしまい、強風で飛びやすい網戸は取り外しておくことをおすすめします。

このように家の周りの安全対策を徹底すると、自分の家だけではなく、隣家や車、通行人に対しての二次被害を防げます。

台風以外の災害に備えた窓ガラス選び

火災が起きている住宅の窓ガラス

台風以外にも火災や地震、防音などに特化した窓ガラスがあります。さまざまな機能のある窓ガラスを知り、住む地域や環境に合わせた窓ガラスを取り入れましょう。ここでは、4種類の窓ガラスについて紹介します。

【火災】網入り板ガラス

ガラス製造時に金網を入れたもので、防火性や飛散防止性にすぐれています。また、火の粉の侵入を防ぎ、延焼を防げるでしょう。法規上必要となる防火用途向けに使われています。ただし、飛散防止性にはすぐれていますが、割れないガラスや割れても安全なガラスではありません。

【地震】防災ガラス

機能ガラスを2枚合わせ、その間に丈夫な中間膜を挟みこんでいるのが特徴です。ガラスが飛び散ることなく脱落しにくくなっています。学校や病院などの公共施設でも利用されているものです。。

【津波・洪水】樹脂サッシ

水圧に耐えられるよう厚みのあるガラスで、あらかじめ工場で壁に取り付けて施工ムラを防いでいます。中空パッキンを使用し、窓と窓枠の隙間からの浸水も防ぎます。水密性の高い開き窓に使用するのがおすすめです。

【防音】防音ガラス

機能ガラスを合わせたガラスで、2枚のガラスの間に特殊中間膜を挟みこんでいます。外部からの音を遮断するのはもちろん、室内の生活音も外部へ逃さないのが特徴です。

災害に負けない窓ガラスを選んで、安全に過ごそう

窓のある部屋で幸せそうに過ごす家族

突然起こる、予想のできない台風などの大型災害。少しでも被害を抑え、安全に暮らしていけるよう普段から対策をすることが大切です。窓ガラスをはじめ、できる対策はたくさんあります。しっかり災害に備えて、快適に暮らしを守りましょう。